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少し前になりますが、第35回日本顎咬合学会で学会発表を行ってきました
昨年に続き、東京国際フォーラムで開催された第35回日本顎咬合学会で、一般口演にて症例発表を行ってきました。
今回も当院歯科衛生2名、学会に参加、しっかりと勉強を行ってきました。
自身の発表では、発表前に予演会をして頂いた公園前中山歯科の中山先生、当症例のインプラント上部構造(歯の部分)の技工を担当して頂いた東京世田谷区開業の歯科技工士の真野さん、大学同期で北海道野幌開業の堀井先生、市川総合病院勤務時代に
外勤で色々とお世話になった千葉県茂原市開業の国松先生に、口演の聴講に来て頂きました。
演題は 「患者ニーズに応じた上顎臼歯部インプラント治療」
歯を種々の原因で喪失した場合の治療法として、インプラント治療は、いくつかの注意事項はあるものの、治療法が確立されたものとして認知されているといって良いと思いますが、治療を行う部位(奥歯か前歯か、上顎か下顎か、)によって状況が異なり、当然、難易度も違ってきます。
今回テーマにしている上顎臼歯部(奥歯)は、上顎の上方に位置する上顎洞(副鼻腔の一つ)の存在により、インプラントを入れる部分の骨の量(特に高さ)が少ない場合が多く、また、骨の密度が低く、骨質が柔らかいため、インプラントを埋入した際の固定具合(初期固定)も低くなることが多く、比較的、治療の難易度が高い傾向があります。
骨が少ない場合の対処法として、サイナスリフト、ソケットリフト(上顎洞底挙上術)があります。(ホームページのインプラント治療の項目もご参照下さい!)
一般的な基準として、骨の高さが4mm
を基準にそれ以上の場合はソケットリフト、
それ以下の場合はサイナスリフトを選択します。
サイナスリフトは外来手術では比較的大きな手術の分類になります。
今回の症例発表では、サイナスリフトを避ける代替案の治療として、上顎洞の前方および上顎結節部へ、インプラントを斜めに埋入する、傾斜埋入を用いた治療法を紹介しています。この治療法がいかなる場合でも適用できる場合ではありませんが、条件が合う場合は、サイナスリフトを回避する一つのオプションとして、有効であると感じています。
限られた骨の中にピンポイントでインプラントを「埋入していくため、通常のやり方ではかなり難易度が高くなりますが、私が行っているガイデッドサージェリーを用いると、そのような部位でも術前のプランニングをしっかりと行っておけば、比較的スムーズに手術を進めることが可能です。
私自身、最近はこのガイデッドサージェリーを駆使して、様々な症例で治療成果を上げております。
発表ではガイドを用いた場合の外科手技と、その後の上部構造(土台および歯の部分)作製についての注意点、工夫点などをプレゼンテーションしました。
座長の先生からの質問では、傾斜埋入したインプラントのセルフケアの行い方、期間についての質問がありました。現在インプラントの周囲の清掃器具としてセルフケア用の「ぺリオブラシ」を使用していること、メンテナンスの期間として1~2カ月の間隔で行っていることなどを返答しました。それに対し、傾斜埋入したインプラントは、傾斜側の下部が仮性のポケットになり易いため、セルフケアが行いにくく、メンテナンスの期間を2~3週間にしたほうが良いのではないかなどのご指摘をいただきました。
ここで重要なこととして、患者さんからもよく質問を受けるのですが、メンテナンス(インプラント周囲の清掃)はどのくらいの間隔が適当かということがあります。これは、上部構造の様式、インプラントの埋入の深さやインプラント周囲組織の状態により、間隔を変えていく必要があるということです。
インプラント治療は、インプラントが骨と結合した後、歯の部分が完成してからのメンテナンスが、長期の安定した状態を維持していくために、本当に大切です。患者さんにもメンテナンスの必要性、重要性をしっかりと認識して頂きたいと考えます。
最後に、いつもガイデッドサージェリーについて、ノーベルガイドプラニング教室において、技術や知識の研賛および症例の相談、発表、報告の機会、を与えて頂いている矢田生協病院の高山賢一先生、発表前にプレゼンのチエックをして頂いた公園前中山歯科の中山先生、津守歯科の津守先生、そして当院のスタッフに感謝の意を述べたいと思います。
そして、今回の学会発表で得たことを、また患者さんにフィードバックしていきたいと考えております。