インプラントとは

事故、虫歯・歯周病、歯の破折などによって歯を失ってしまったとき、その機能・審美性を補ってくれるのがインプラントです。

顎の骨に埋め込んで安定を得るため、入れ歯やブリッジと比べて強く噛めます。このことが、機能面では最大の特徴といえるでしょう。ブリッジの場合はも基本的にはよく噛むことが出来ますが、強く咬みすぎると土台の歯や歯根が折れる「歯根破折」が経年的に起こりやすくなります。そこから連鎖的に歯に負担がかかり、歯の破折や、歯の周囲の骨の喪失を招き、結果歯を失う負のサイクルが起こり易くなります。上部構造にはセラミックやジルコニアを使用し、部分入れ歯のような金属のバネが必要ないため、審美性の面でも非常に優れています。天然歯と同じような機能性と審美性を持ち合わせているのが、インプラントです。

インプラントは、顎の骨に埋め込む「インプラント体」、人工歯の部分となる「上部構造」、そしてその2つを連結させる「アバットメント」に大きく分けられます。

インプラントのメリット・デメリット

当院では、インプラントのメリットはさらに大きく、デメリットは少しでも小さくできるよう努めております。

インプラントのメリット・デメリット

メリット

強く噛める

部分入れ歯やブリッジは、周囲の歯の支えによって安定します。そのため、支えてくれる歯はもちろん、その下にある歯ぐきにも、本来であれば必要のない負荷がかかります。

インプラントは11本が独立して安定するため、周囲の歯・歯ぐきに余計な負担をかけません。もちろん、隣の歯を削ったりする必要もありません。このことが、お口全体の健康の維持にもつながります。

美しい

上部構造には、審美歯科で用いられるセラミックやジルコニアを使用します。また、部分入れ歯のような金属のバネも必要ありませんので、天然歯と変わらない、自然な仕上がりが再現できます。

周囲の歯・歯ぐきに優しい

部分入れ歯やブリッジは、周囲の歯の支えによって安定します。そのため、支えてくれる歯はもちろん、その下にある歯ぐきにも、本来であれば必要のない負荷がかかります。

インプラントは11本が独立して安定するため、周囲の歯・歯ぐきに余計な負担をかけません。もちろん、隣の歯を削ったりする必要もありません。このことが、お口全体の健康の維持にもつながります。

お手入れしやすい

インプラントは、天然歯と同じように、ブラッシングをはじめとするセルフケアを行ってお手入れしていただきます。これまでと同じようにお手入れができること、日常生活の中で取り外したりする必要はなく、入れ歯と比べてストレス・手間が軽減されます。外食や旅行先、出張先でも手間がかかりません。

ただし、歯科医院での定期的なメンテナンスは欠かさず受けていただく必要があります。

デメリット

手術が必要

インプラントの埋入は、手術にて行います。そのため、患者様によっては恐怖心や不安を抱かれるかもしれません。当院では、入念な検査とシミュレーション、丁寧な手術前の説明を行い、患者様の恐怖心・不安を少しでも和らげられるよう努めております。

また、別途費用(出張費)がかかりますが、麻酔科の先生にお越しいただき、静脈内鎮静法にて手術を行うことも可能です。半分眠っている状態で、恐怖心や不安、痛みなく手術を受けていただけます。

費用が高額

当院では、適正価格でのインプラント治療の提供に努めておりますが、自由診療となること、高品質のインプラントを採用していることなどから、ブリッジや入れ歯と比べると高額になります。

特別なインプラント治療法

即時荷重インプラント(手術当日から歯まで作る治療法)

インプラントを埋入した直後に固定式の人工歯を取り付け、その日から噛めるようにする方法です。比較的負荷のかからない、前歯、臼歯の1~3本を失っている方、あるいはすべての歯を失っている方に向いています。歯が全くない方が全体的なインプラント治療を行った場合、1~2週間は現在使用している入れ歯自体も、手術の傷が痛くて、入れられない状況になる場合もあり、そのようなケースも即日に歯が入り、ある程度の固形物も食べられますし、見た目を維持することも可能です。

治療期間の短縮が期待できることも大きなメリットです。

【症例】上顎無歯顎

手術当日に仮歯まで装着し、噛めるようにする

BEFORE

インプラント治療前(いわゆる総入れ歯を装着されている)

before01
before02
before03

最終の歯のイメージをもとにインプラント埋入位置を決める

before04
before05
before06

AFTER

手術直後の仮歯の装着

手術直後の仮歯の装着

手術後のレントゲン写真

手術直後のレントゲン写真

最終の歯の装着

最終の歯の装着01
最終の歯の装着02

主訴

上顎、総入れ歯がゆるみ、インプラントの固定の歯に変えたい

治療期間

7ヶ月

費用

220万円

リスク

即時荷重治療による術後2,3ヶ月でインプラント脱落のリスクがある

抜歯即時埋入インプラント(治療期間を短縮する治療法)

抜歯した直後にインプラントを埋入する方法です。顎の骨の吸収の防止、治療期間の短縮が期待できます。

適応になるケースは、抜歯した部分の外側の骨が2mm以上ある場合になります。もともと骨の幅がある方には、非常に有効な治療方法です。しっかりとした適応の見極めが必要です。専門的な技術や経験を必要とする治療です。

【症例】フラップレス

フラップレス01
フラップレス02
フラップレス03
フラップレス04
フラップレス05
フラップレス06
フラップレス07

オペ前

フラップレス08

オペ後

主訴

歯根の破損による歯肉の腫脹

治療期間

6ヶ月

費用

約40万円

リスク

ブラインドによる処置の特性上、インプラント周囲組織の取り扱いの不確実性などの問題

即時修復

前歯・小臼歯など、負担があまりかからない部分の歯で1~2歯位の場合、インプラント埋入と同時に仮歯まで作製し、見た目の改善を図ることができます。

硬いものを咬まないなどの負荷がかからないようにする必要があります。

【症例】手術当日に歯まで完成させる(仮歯)

抜歯前

抜歯前

抜歯即時埋入、即時修復(仮歯)

抜歯即時埋入、即時修復(仮歯)

治療完了(ジルコニアセラミック)

治療完了(ジルコニアセラミック)
ノーベルガイドによるインプラント埋入位置の設計
抜歯即時埋入、即時修復においてシミュレーションソフトによる手術の設計は有効である
ノーベルガイドによるインプラント埋入位置の設計
シミュレーションの情報を組み込んだ手術用のガイド

シミュレーションの情報を組み込んだ手術用のガイド

インプラント埋入時レントゲン

インプラント埋入時レントゲン

主訴

歯肉の腫れ

治療期間

5ヶ月

費用

60万円

リスク

インプラント部分の歯肉の退縮による審美障害
術後のインプラント周囲炎

不足している骨の量を補う方法
(骨が少なく、他院で治療を断られた場合の治療法)

インプラントは、顎の骨に埋め込んで安定させます。そのため、顎の骨の厚み、高さが不足している場合には、インプラント治療ができないことがあります。

当院では、不足している顎の骨の量を補う治療を併用することで、そういった場合にも安全性の高いインプラントの埋入が可能です。

ソケットリフト

上顎の骨の高さ不足している場合に行われる方法です。

上顎洞の下部から骨補填材を挿入すると同時に、特別な器具を用いて上顎洞の底を押し上げます。骨の高さを確保したところで、インプラントを埋入します。

BEFORE

before

右上顎洞底から既存の骨の辺縁までの
高さは3mmである。
患者は術後の顔の腫れが出ること回避したかったため通常のさいなすリフトではなく、歯槽頂アプローチによるサイナスリフトを計画した。

AFTER

after

予定通り、歯槽頂アプローチによるサイナスリフト(ソケットリフト)により、インプラントを埋入した

ソケットリフトCT画像

ソケットリフトCT画像

緑部分に骨の造成を行う予定(水色は予定しているインプラントの埋入位置)

サイナスリフト

上顎の奥歯(臼歯部)の骨の高さが、大きく不足している場合に行われる方法です。

上顎洞の横から歯ぐきを切開し、上顎洞粘膜を露出させます。特別な器具を用いて上顎洞の粘膜を直接的に持ちあげ、骨補填材を挿入し、骨の高さを確保したところでインプラントを埋入します。

最近の新しい技術として、横からのアプローチではなく、真上からアプローチする「頂アプローチ」があります。術後の顔の腫れが出にくくなります。当院でも、ここ2、3年はこの方法を用いる場合が多いです。

口腔外科的な専門技術を要する治療法です。

サイナスリフト+インプラント同時埋入

BEFORE

before

左上上顎洞底が下がっており、
既存の骨の高さは3~4mm

AFTER

after

上顎洞底挙上術(サイナスリフト)を行い、
同時にインプラント埋入を行った

サイナスリフト 待時インプラント埋入

サイナスリフト術前

サイナスリフト術前

右上56 副鼻腔の底が下がり、骨の高さが2mmしかないため、上顎洞底挙上術(サイナスリフト)を計画

サイナスリフト術後

サイナスリフト術後

側方からのサイナスリフトを行ったレントゲン上のドーム状の白い部分

治療完了後(上部構造装着)

治療完了後(上部構造装着)

サイナスリフト後6ヶ月以経過、骨の再生後にインプラント埋入。
その後6ヶ月の治癒期間をおき、上部構造(歯の部分)を装着し、治療を完了した。

サイナスリフト待時埋入CT画像

サイナスリフト待時埋入CT画像

緑部分に骨の造成を行う予定

主訴

右上のブリッジの破損

治療期間

約1年

費用

60万円

リスク

上顎洞への細菌の感染

ブロック骨移植

骨の幅が大幅に不足している(骨の幅が薄い)場合に用いる治療法です。下顎の奥からブロック状の自家骨を採取し、インプラントの埋入を予定している箇所に移植します。骨折が治るときと同じように骨は安定し、インプラントが埋入できるようになります。

単に「骨移植」と呼ばれることもあります。

ブロック骨移植(下顎の奥の骨から採取)

ブロック骨移植
ブロック骨移植
ブロック骨移植

治療完了時

GBR法

インプラント治療において比較的よく行われる、最も基本的な骨造成法です。

小さい範囲から大きい範囲まであり、適用範囲が広いです。

インプラント周囲には2mm程度骨の幅を確保する必要があり、基本的にそれを尊守して当術式を行うことになります。

GBR
GBR

赤→の部分
骨が委縮して先細りになっている

GBR

緑部分に骨の造成を行う予定

GBR

骨の造成を行う予定で理想的な位置にインプラントの埋入シミュレーションを行った